夢のような1日

アイドルを好きになって「夢のような1日」ってこういうことかと知りました。ツイッターやってます→@yareba_owaru

『大野智作品展🍛FREESTYLE2020』に行ってきた話(ネタバレ)



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2020.9.10(木)

大野智さんの作品展『FREESTYLE2020』に行って参りました。

場所は六本木ヒルズの展望台、東京スカイビューにて。前回までの会場(東京は表参道ヒルズ)もおしゃれだったけど、今回もTokyoど真ん中です。

 

コロナ禍にあって、市内の職場と自宅の往復しかしてないわたしにとって六本木は大冒険。多摩川を越えて市外に出たのが実に半年ぶり。そんなこんなで、六本木についた時点でめちゃくちゃドキドキしてる。

そして、今でもコロナコロナ言ってるなかでも無事に開催できてよかった、ここにこられて本当に良かった…と思うなど。

(どんなに来たくても、今はまだ東京にこられない人たくさんいるもんね。)

 

『どうか、この作品展を観たい人がみんな観られますように』

そう思わずにはいられない素晴らしい体験でしたので、自分の雑感として残しておきたいと思います。アホほど長い自分用の記録。

 

【作品展の展示内容についてネタバレあります】

 

まず六本木駅について、謎にドラマチックな気分になるあのエレベーターに乗って地上へ。テレ朝夏祭りもなかったのか今年…とかしみじみの限りをつくす。

 

展望台への入り口に向かう途中で、智のカレーパンとパイナップルジュースがもらえるカフェが見えてきます。


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おしゃれおしゃれ。

とにかく智くんの個展に関しては、2008年の初回から一貫してデザインが都会的でスマートでときめく。大野智というコンテンツを彩るプロの大人の仕事を感じちゃう。

 

で、事前に発券していたチケットに記されている整理番号順に整列。この作品展は事前抽選による完全予約制、30分刻みの時間指定あり。コロナ対策にもなるんだろうけど、ちなみに前回からこうでした。密を避けられるので、今の情勢にナイスフィット。ゆったり見られるのでありがたいし。

 

私は14:30のチケットで、14:10集合。指示通り並ぶのは熟練のオタクなので、スッ…と所定の位置へ。(ちなみに今回一人です)


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足元にこんな表示。いつもの10倍くらいゆったりしたスペースがとられてる。ソーシャルディスタンスのおかげで、ジャニーズにしては人権のある列。この日は曇天で涼しくて快適だったけど、暑い日とか雨の日は大変そう。

 

久々の嵐関連の現場でしたが、さすがに落ち着くファン層。多いのはわたしより少し~だいぶ年上のはしゃいでる姿が微笑ましいマダム二人組。あとは母娘二人、若いカップル、小さい子連れ、ギャル、学生さんなど、幅広い。キンプリちゃんの現場で感じる肩身の狭さが皆無でありがたい…息をしやすいよ…みんな違ってみんないいよね…

 

さて、いよいよ会場へ。並んでる間におでこだして検温ピ!アルコールぶしゅー!今や普通になった本人確認、バッチリやります。スタッフさんからマスクをはずしてください、といわれ顔をまじまじと見られると照れてしまうのは私だけでしょうか。

ここで展望台のチケットをもらって、エレベーターへGo。
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エレベーターは上限8人で、床に立ち位置がマークされてる。さすがの日本人、みんなキレイに並んでちゃんとマークの上に立つ。

 

耳キュイ~ンとなりながら一気に52階へ。閉所恐怖症なので心拍数がヤバイ。いま地震がきて閉じ込められたら?とか無駄に嫌なイメージが去来してしまい、目をつぶってやりすごす。なんとか無事についた…

 

遠くの窓の向こうに、空と東京の街が見える。海抜250m、一気に非日常感。高いところにのぼるとワクワクしちゃうおのぼりさん。

 

会場へ入ってすぐ、アーチの向こうにワイドショーでみたカイトのジャケットの絵とゆっくり回転する巨大グリーンヘッドさんがお出迎えしてくれます。


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差し込む自然光が気持ちいい空間。遮るものがないどこまでも続く空が見えて、ごみごみした街を見下ろしていると、『ああ、自由だー』という想いが湧いてくる。単純。

空が近いこの場所が選ばれた必然性みたいなものを感じて、しばし味わう。ふわふわする。(エレベーター酔いもあるのかも)


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このアーチ、我々はくぐることはできず、ぐるっと壁沿いに撮影可能スペースまで列ができている。

途中、『ご覧あれ~』と智くんから手書きのメッセージが。文化祭の看板みたいな趣の素朴な文字に、人柄がにじんで見える。誰かを驚かせたいとか、人より自分をよくみせたい、とかいう気持ちが全然ない人。

嵐の展覧会でも、智くんのスペースには『よかったら見ていってくださいな』と書かれていたのを思い出す。それに比べると今回の『ご覧あれ』にはちょっぴり胸を張ってどうぞ!と見せてくれている感じが伝わってきてうれしい。『よろこんでみさせてもらいますよ』とひとりごちる。

 

視線を右に移すと、FREESTYLEの巨大グラフィティが。2008年の個展のために描かれたもの。

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いま見るとほんとに素朴で、悪くいっちゃえば素人くさい(失礼!)作品なのだけど、当時は象徴的な作品として展示されていた。当時よりもいろあせてくすんで見える。

『久しぶり~元気だったの?』という思い。通路はさんで左側には小さいフィギュアたちの写真が数点、その先にもFREESTYLEの会場に並んでいた立体物が展示されていて、なつかしい。どれも、本当に素朴。これが智くんがだれに見せるためでもなくただ好きでやっていたこと、『FREESTYLE』の原点なんだよなあ。

 

いよいよ、撮影可能ポイントへ。撮影してよいのは、カイトの絵とグリーンヘッドのみ。その撮影をする背中方向にも、贅沢に新作の抽象画がぐるっと展示されていて忙しい。

横長のキャンバスに顔がいくつも描かれているもの、絵の具をそのままキャンバスに落としたような抽象画、いずれも初めて見るタッチの作品で興味深いのだけれど。。

 

人間の性として、やはり正面の作品の撮影に夢中になってしまう。


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(この日はご覧の曇天模様)

このエリア、我々観客がカメラを持って思い思いの写真を撮ることでアートになる、それを持ち帰れる、そういう仕掛けなのかなと感じました。ぐるぐる回るグリーンヘッドのおかげで、撮る場所やタイミングによっていろんな写真になる。カメラが趣味の人とかはたまらないのでは。

 

さて、撮影エリアを抜けるとなつかしいあの顔のフィギュア100体が展示されていたり、一時期はまっていたんであろう自分の顔の型どりを使った立体(レースのやつとか)、怪物君の耳つきの絵など懐かしい作品にお目にかかれる。

ふと、これらの作品は普段どこで保管されているのだろう?という想いがよぎる。どの作品も、またあえたね、久しぶり、元気だった?と心のなかで話しかけながら見る。いつか、どこかにこれらの作品や今回の新作も常設してあって、見たい人がいつでも見に行ける場所ができたらいいのになあと思う。

元気をもらいに、きっと通うと思う。

 

このあたりに、お馴染みのスーツ姿で真顔でジャンプする智(わかるよね?)の写真が、並んでいる。

2008、2015、2020。

だんだん足の揃いかたが緩くなっているのは、やはり加齢もあるのかな。いずれにせよ、どれもいい顔してる。

 

~ここからは、新作や新しい展示物を中心に感想を~

 

まずは智の子供の頃の思い出コーナー。

一番印象に残ってるのは、中3の2学期、数学の中間テストの答案用紙。(H7.10.12)

C組4番大野智。2点。1問目しか丸がない。

こんな点はなかなかとれないからってお母さんが記念に額に入れて飾ったやつ、だよね?お母さんが入れた額なのかはわからないけれど、立派に額装されて、さりげなく展示してある。

このとき、14才の智が生きていたんだよなあ、とまじまじと見る。高校を2日で辞めた時といい、中3のテストが2点のときといい、智くんのお母さんはどんな気持ちだったのかなあ。つい親目線になってしまう。

 

その他にも小学生のときにもらったあやとび一等賞の賞状、やたら登場人物の名前だけが羅列されている内容のない作文(かわいい)、七五三の記念写真、ドラゴンボールのイラスト、中学の美術の課題のデッサン、写生画…

これらが四角いショーケースにおさめられていて、ファンはこれがみたくてちょっと密。

私も見たかったけども、人垣が切れるタイミングがなく、遠目から見るにとどめる。子供のころのあれこれ、見せてくれてありがとうね。ちゃんととってあるのが大野家って感じだよね。

 

途中、去年の24時間テレビのチャリTシャツの線描画も。当時、久々に智くんの描く絵を見せてもらえて嬉しかったことを思い出す。

本当にずっと描いてなかったもんね。

折に触れて「描きたいと思えない」と言う智くんに、地味に傷ついてた。

やりたいことを好きにやってきて、私たちに見せてくれたせいでそれが仕事になってしまって、ファンが智くんから大切な部分を奪ってしまったような気持ちになっていたから。もちろんチャリTシャツのデザインも仕事として引き受けたのだろうけど、智くんの新作を見られてとても嬉しかったことを覚えてる。

 

この絵を解説する智くんが、泥から花を咲かせる蓮を「人生みたい」って言ってたことを思いながら、じーーーっとみた。

この人にとって、人生ってどろどろして汚いことばっかりで苦しいけど、その中にこそ美しい瞬間とか生きる価値があるって感じなのかな。哲学。

下書きの跡や、印刷にのらない細い線のタッチまで見られて満足。なお、このTシャツはこの夏も家族で着てました。宝物。


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ここからは、また新しいゾーン。壁に仕切られたそれぞれのスペースに旧作、新作、大型の絵画がこれでもかと展示してある。

 

まず目に飛び込んできたのは、新作のパグの絵。鬼の角と赤い髪の被り物(ドリフの鬼的な)をした、黒パグがこちらを見ている。とても大きい。

帰宅してから作品集のインタビューを読んで、この絵に込められた智くんの想いを知ったわけだけど。

この作品は見たとたんに、何かをこちらに訴えかけてくるものを感じた。ぐるぐると渦を巻くような、叩きつけるような、気持ちをそのまま絵の具にしてぶつけたようなタッチ。色使いも、情熱的で濃厚、全体にどす黒い。大野智にも、やっぱりこんなに熱くたぎるような人間らしい内面が存在するんだなあ、と正直驚いた。ガツンと頭を殴られたようなショックを覚えました。

 

すごく余談だけれど、私もFREESTYLEIIのときにパグを飼っていたので、パグの絵を智くんが描いてくれたことは勝手に嬉しかったし、途中でパグのグッズが販売中止になってしまったことはとりわけ残念だった。

あの頃の“あれこれ”にまつわる率直な反省を、こうやってまたパグの絵を描くことで私たちに伝えてくれるなんて、智くんにしかできないこと。どこまでもファンのことを考えてくれてしまう人だと改めて感じた。とりあえず、作品集のインタビューは涙なしでは読めない。

 

さて、大きなゾーンごとの逆走はできない(スタッフさん結構きびしい)ものの順路は特にないこの作品展、自分のタイミングでうろうろ回遊できる。パグの絵のあと、亀梨くんの似顔絵(キンプリのいわちに似てた)を見て、私が向かったのは、ジャニーさんの絵。
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これは生で見られて嬉しかった。色は思ってたよりもずっと明るくてきれいでポップな印象。デジタルぽくもあり、見ていて楽しくなる。作品展のあとは事務所に飾られる予定とか。ジャニーさんは絶対この絵好きだと思うし、喜んでると思う。知らんけど。

 

そしてこの絵に向かい合うようにして、ランタンの静物画が飾られているのだが、それがすごくよかった。(作品集の最後のページに掲載)

今回、ランタンの絵はここと、もう一枚ある(作品集の最初のページに掲載)のだけど、正直私はこの2枚のランタンの絵が、今回の作品展で一番よかったと思っている。テレビでも全然取り上げられないので、現地に行かないと見られない新作である。

 

智くんがヒロシさんと出会ってキャンプにハマり、募る思いのあまりランタンを五個買ったという話は知っていた。でもまさかランタンの絵を描いて出展していたとは知らず。まず、とても驚いた。

その時々に好きなものを描くという智くんのスタイル(作品が日記みたいになる)と、それによってその絵が持つストーリーにしびれる。近年の智くんのキャンプ熱を知らない人にとっては、謎のモチーフである「ランタン」が、私たちファンにとってはお馴染みのアイテムであったりする。

作品になんの解説も付されていないこの作品展において、ファンだけにわかるこのストーリー。あれだけ釣り一辺倒だった智くんが、ヒロシさんに出会い、キャンプに出会い、新しい人生の楽しみにであった瞬間を見せてもらえた『ヒロシとサトシのソロキャンプ』。バラエティー番組の1コーナーにすぎないのだけれど、これまでの大野智を知るファンにとっては近年になく強い印象を残した。

そのドラマに対するファンの感動を含めてこその、このランタンの絵なのだ。

 

またランタンは白背景に描かれているのに、ほのかに光を灯しているように見える。ランタンを眺める作者の眼差しの優しさだったり、愛情を感じるようで、とても温かく愛おしい作品に思えた。

特に、展示奥にあるランタンの絵(作品集の最初の方のやつ)が、本当に大好きになってしまった。一目見て、『最高じゃん、最高じゃん』とひとりでつぶやく。ああ、誰かと分かち合いたかった…!

ぐるっと回ってまたこの絵の前に戻って、ずーっと見ていた。

ゴッホを思わせる一枚目のランタンが、さらに進化して、『This is 大野智』になったのがこっちのランタン、というのか…うまく言えないけれどとにかくハイブリッド。大野智のこれまでの作品の変遷が1枚に凝縮されているような、まさに大野智の粋(すい)を集めたような1枚に私は感じて、大好きになった。恐らくだけども、作品展の中で見られる最新作なのでは。これが最高傑作じゃん、と勝手に思った。作品集にも載っていて嬉しかったけど、本物は全然違う印象。

この絵だけでも、またいつか、見に行きたい!!

 


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そして、ようやくこちらの前へ。こちらも、ずーっと見ていられる。隠されたモチーフに気づく度、その部分だけが浮き上がって見えてくるのがとても不思議な体験。タツノオトシゴの細密画から、ものすごい進化を遂げている!と感じた。

 

とにかくこの作品展、加速度的に進化して自由になっていく大野智の作風の変化を感じられるのが感動的。

例えば作品展の表紙やグッズのTシャツ、カレーパンとジュースのカフェに見られるような抽象画=智いわく『色のやつ』について。


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作品展でもこれら『色のやつ』が多数見られるのだけれども、正直言って「こういうよくわかんないのを芸能人が“アート”とか言い出したら終わりかな」と思うタイプの人間なので、最初はすごく懐疑的に観た。

でも、いくつも見ているうちに、「これもいいね」とか思っている自分がいて。色合いがどれも絶妙におしゃれだったり、かわいかったり、怖かったりしてどれもとてもよい。ずっと見ていられる。きっとお気に入りの1枚が誰にもできるはず。私はショッキングピンクと黄緑の鮮やかな1枚が好きで、レプリカがあったら家に飾りたいなーと思った。

そしてこれも、新しい大野智の表現なんだよなあと思う。

 

まず絵の大きさからして、初期のものから比べると単純に大きくなっている。初期には対象モデルをいかにリアルに再現するかという主眼だった表現が、もはや『なにか』を描かなくても、色だけで自分を表現できるようになっていく。

どんどん『枠』が大きくなって、やがて枠そのものがなくなって、自分の内面にある形のない想いやイメージを、そのまま取り出してキャンバスにのせることができるようになっている。ものすごい進化で、こうやって表現が広がって自由になっていくものなんだなあ、といたく感じ入った。

 

カイトのジャケットの絵を見たときに初めて智くんの抽象画を見たわけだけど、それは聖火のイメージとか嵐五人の色とか、やはりきちんと物語がある絵だな、智くんらしいな、と思ったのを覚えている。

『色のやつ』からは、そこからさらに進化した大野智が見えて、きっとこの先も続いていくだろうなと思えて、この人はどこまで行くんだろう、表現者としての可能性がとんでもないなと感じました。

 

そんなカイトの絵が掛け軸としてかけられた茶の間、(向かって右の壁にさりげなく松本潤画の絵がかけられていたりする)が続き。
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上海でファンがひとりひとり指紋で彩ったタツノオトシゴ、FREESTYLEIIの衝撃だったちょんまげの子供の絵がその奥にひかえる。

 

出口に向かう最後のゾーンには三枚の大きな写真が。2008、2015、2020の大野智のモノクロ写真。

白いシャツを着て、神妙な顔をしてこちらを見ている。どれも知っている大野智の顔だけれど、2008年の智はやっぱりすごく若くて、2015年の智はピカンチのハル風味で(笑)、2020年の智は…なんだか苦しそうに見えてしまった。

40才を前にして、嵐の看板を下ろすと決めた智くんの顔。お疲れさまでした、と声をかけているご婦人方がいて、不謹慎にも遺影に見えてきてしまう。切ない。べそ。


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ちなみにこのそばには嵐のワクワク学校オンラインの宿題で嵐のみんなが描いた大野智の絵も飾られていて、嵐の絆も感じられる。

 

さて、いよいよ最後の展示へ。

最後は遮光カーテン越しのシアターになっており、2分ちょっとの映像作品を見られる。20人くらいひとまとまりになって、暗闇の中へ。

足型が床にスタンプされていて、各自その上へ。私は最前列センター、1列だけある椅子に座れた。椅子のないエリアの人は立って観る。

 

画面は6分割されている。暗い空間に浮かぶ透明なガラス張りの小部屋に入れられた白い全身タイツの大野智の姿を、上下左右からそれぞれ定点で撮影した映像が同時に流れる。どの画面を見るか、キョロキョロしてしまう。特にストーリーもなく、ひたすらにシュール。

音楽もなく、智くんが気の赴くままに動く。アイソレーションのお化け、よくそんなにパーツごとに自由自在に自分の体を動かせるものだ。キュキュッと靴が床に擦れる音、ジャンプして着地するときのドーン!という衝撃音がなんとも不穏。だんだん漏れる息づかいにドキドキして、息ができない。

なんなのこれ?なんなのこれ?と思ううちに、智くんが近づいてきて、カメラをOFF。

FREESTYLE2020 のロゴ。

え?終わり?とキョトン。あっという間。

なんだったんだろう、と思いながら外へ。

なんだったんだろう、にはきっと答えはない。だけど大野智という人は、絵や書、造形物だけじゃなくて、自分の体を使って人並み外れた表現ができる人だったということを、にわかに思い出す。

 

すごい人だ、という思いが広がる。

たまたまアイドルになって、たまたま嵐になったけれど、本質はもっと宇宙的に広くて深くて大きすぎる人だ。すごい。すごい。すごい…!

 

そんな気持ちがぐるぐるしたまま、シアターの外へ。明るい窓の外に、新国立競技場が見える。国立競技場は嵐にとって特別な場所。新しくなったその場所が見えるところまで、この作品展の一部に思えてしまって胸がいっぱいになる。

 

ほんとの出口。

今回の新作の製作風景の写真が展示されている。巨大な細密画に、ちょこんと正座して向き合う後ろ姿。

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ああ、この人のことがやっぱり大好きだなあ、と思いが溢れてくるのがわかる。

 

ふりかえったら警備員さんのいる出口。

これまた文化祭の看板みたいなメッセージがおいてある。

 

『ありがとう  大野智

 

これだけのものを見せてくれて、表現者としていくらでも羽ばたけるポテンシャルがあるのに、やっぱりどこまでも「ファンの子」のための作品展なんだよね。

こんな風にどこまでもファンを大切にする気持ちが全身に伝わってきました。

 

ありがとうはこっちの台詞だよ。

智くん、本当にありがとう。

そう思いながら、なんとか出口へ。

出口には「戻れません」の注意書が立ててある。

帰りたくなかった。もしかしたらもう二度と智くんの作品を直接見られないかもしれない。

来年になったら、智くんの姿をもう二度と見られない世界になるのかも知れない。

 

こんなに好きな人を、ずっと心の支えにしてきた大切な存在を、うしなうのかもしれない。

そんなことを考えていたら涙が止まらなくなってしまった。

 

出口を出てすぐ、予約していた作品集と、カレーパンを引き取って、トイレに駆け込む。一人になって落ち着かねば。


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その時にトイレの個室の荷物置き場で撮った写真。白バックで結果的にとてもよく撮れた…

 

作品展のレポ(?)はここまで。

ひとりの胸に留めておくには重たすぎる溢れる想いが、そこにはありました。

  

改めて。

活動を締めくくる前にこうやってまた新作を見せてもらえたことが、本当に幸せだと今は思う。思えば大野智さんを応援してきて、ずっと、いつもいつも、幸せにしてもらっていました。

 

すべての大野智ファンのみんなのところにも、この作品展にふれる機会が訪れますように。

 

そして何より。

智くんが元気で幸せでありますように。


f:id:omi-shiru:20200915181139j:image(帰り道、東京の風景)